許可の基準②~営業所の専任技術者と現場に配置する技術者~

許可を受けて建設業を営もうとするすべての営業所には許可を受けようとする業種ごとに建設業に関する国家資格や実務経験を有する技術者を専任で配置することが必要です。

目次

専任とは

その営業所に常勤して専らその職務に従事することを言います。

通常の勤務時間中はその営業所に勤務し、建設工事に関する請負契約の適正な締結及びその履行を確保することを求められています。

原則「専任」とは認められないケース

  • 技術者の住所が営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能である者
  • 他の営業所において、専任を要する職務を行っている者
  • 建築事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士等他の法令により特定の事務所等において専任を要することとされている者
    ※ただし、同一法人で同一営業所である場合は、兼ねることができます。
  • 最低賃金法に基づく静岡県の地域別最低賃金(月額12万円を目安)以下の者  など

営業所の専任技術者の資格要件

一般建設業の専任技術者となり得る技術者資格要件

下記のいずれかに該当している者

  • 一定の国家資格等を有する者  >>参照
  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、下記の実務経験を有する者
    ・大学卒業後     (指定学科卒)3年以上
    ・専門学校卒業後   (指定学科卒)3年以上 ※「高度専門士」「専門士」取得
    ・高等専門学校卒業後 (指定学科卒)5年以上
    ・高等学校卒業後   (指定学科卒)5年以上
    ・専門学校卒業後   (指定学科卒)5年以上 ※「専門学校専門課程修了」
    ・上記以外の学歴の場合       10年以上
    ・複数業種について一定以上の実務経験を有する者  >>参照
  • その他
    ・海外での工事の実務経験を有する者で、当該経験の内容につき国土交通大臣の個別審査を受け、一般建設業の営業所の専任技術者となり得る者としてその認定を受けた者

特定建設業の専任技術者となり得る技術者資格要件

下記のいずれかに該当している者

  • 一定の国家資格等を有する者  >>参照
  • 一般建設業の専任技術者となり得る要件(上記のいずれか)を有し、かつ、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、発注者から直接請負、その請負代金の額が税込み4,500万円以上であるものについて2年以上の指導監督的な実務経験を有する者
    ※ただし、指定建設業は除く
  • その他
    ・海外での工事の実務経験を有する者で、当該経験の内容につき国土交通大臣の個別審査を受け、特定建設業の営業所の専任技術者となり得る者としてその認定を受けた者
    ・指定建設業に関して、過去に特別認定講習を受け、同講習の効果評定に合格した者、もしくは国土交通大臣が定める考査に合格した者

指定建設業とは

施工技術の総合性、施工技術の普及状況、その他の事情を勘案して定められた業種で、計7業種が定められています。

  • 土木工事業
  • 建築工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 舗装工事業
  • 造園工事業

特定建設業において、指定建設業の専任技術者は、「一般建設業の専任技術者となり得る者」+上記で一級技術検定等の国家資格者もしくは、上記の大臣認定を受けた者でなければいけません。(上記の実務経験では要件を満たせません。)

工事現場に配置しなければならない技術者

建設業法第26条第1項

建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

POINT
  • ①工事現場には、「主任技術者」(一般建設業の営業所の専任技術者と同じ要件)を置かなければなりません。
  • ②また、特定建設業者が、特定建設業に該当する工事※を施工する場合は「主任技術者」に代えて「監理技術者」(特定建設業の営業所の専任技術者と同じ要件)を現場に置くこととされています。
    ※元請となった工事で、税込み4,000万円(建築一式工事の場合は税込み6,000万円)以上となる下請契約を締結するもの
  • ③「主任技術者」または「監理技術者」は、「公共性のある工作物に関する重要な工事」で工事1件の請負代金が税込み3,500万円(建築一式工事の場合は税込み7,000万円)以上の場合、現場ごとに専任で配置されることが義務付けられています。
  • ④国・地方公共団体等が発注する工事の元請となった特定建設業者が置く「監理技術者」は、「監理技術者資格者証」の交付を受け、かつ「監理技術者講習」を受講した者を配置することが義務付けられています。
  • ⑤出向者でも営業所の専任技術者になれますが、現場の配置技術者には原則としてなれません。

>>特定専門工事における主任技術者配置義務の合理化

専任技術者と現場の配置技術者は兼務できるのか

結論から言うと、条件次第では兼務可能です。

条件とは、

  • 前項のPOINT③のように現場ごとに専任で配置されることが義務付けられている工事や工作物に関する重要な工事以外で、配置技術者の専任を要さない工事の場合
  • かつ、当該営業所において請負契約が締結された建設工事である
  • かつ、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制であるもの

上記であれば、専任技術者と現場の配置技術者を兼務することができます。